STUDIO UGOKI

EVENTS
UGOKIの訪問記
YAMATOWORKSさんを見学してきました!

YAMATOWORKSさんは『KAKURENBO』や『九十九』の監督をされた
森田修平さんが代表を務める会社です。
スタジオの立ち上げからオリジナル企画についてなど、
UGOKIにとっても参考になるお話が沢山聞けたので
その模様を記事にしてみました。
2015年を締めくくるイベントを是非ご覧ください!




events_yamato
YAMATOWORKS




今日はよろしくお願いします。
最初にYAMATOWORKSをスタジオ化した経緯を教えてもらえますか?


「これまでもちろんYAMATOWORKSをずっと名のって
『KAKURENBO』とか『FREEDOM』をやってたんですけど、
2006年かな、大友さんの『STEAMBOY』をずっと作ってたスタジオに
僕みないなのが飛び込んで、『FREEDOM』を作ることになったんです。
僕としてはなるべく新しい力でやりたいっていうのがあったんで
『FREEDOM』の制作は8割りがた新人のスタッフで始めたんですよ。
そこでみんなの腕が上がっていく中、アニメ業界の悲しいことなんですけど、
作品が完成すると出来上がったチームが解散なんです。
その後も作品を作って解散を3回ぐらい繰り返していく中で、
意味ねぇーなーと思ってたんですけど
そのときに『FREEDOM』や『九十九』のCGディレクターをやってたスタッフに
一緒にやってみないかと声をかけて、3人でやり始めたのが切っ掛けでした。」

-それがどのくらい前になりますか?
「それが2012年。今会社にしてちょうど四期目になります。
うちは実は作り手しかいないんですよ。制作進行もプロデューサーもいない
ちょっと一風変わった会社です。
またちょっと特殊なところはLightWaveというソフトを使っているので
ある意味他の会社よりもコストダウンがちゃんとできているというか…
自分のイメージなんですが、あんまり大きくしたくなくて……」

-あっそうなんですね。それは?
「もう自転車操業になっちゃうじゃないですか。
仕事をいっぱいとってきて。それよりも自分のイメージとしては
本当にコアな10人ぐらいのメンバーをつくって、
例えばTVシリーズの仕事があるときに
機材ごとソフトごと持って行きまっせみたいな。」



event_photo01
-おお!自ら移動しますと。
「それはアニメスタジオさんにもメリットがあって、
アニメ業界にはなかなか3DCGのノウハウとかないので
CGを使いたくても、それを1から構築して
パソコンとソフトを買って揃えるスタジオはなかなかなくて。
であれば、自分達が機材ごと提供して
外注ではあるけど一緒にスタジオに入って制作しましょうと。」

-完全な外注とは少しイメージが違いますね。
「そう、中に入って一緒にやれば
彼らのお陰で出来たって思ってもらえるのもあるし、
上手くいけば、そこで育成した人たちを
そのままそのスタジオのチームにしてもらってもいいと。」

-なるほど。
「そういう形を目指しつつ、自分も監督をやりたい人間なので
へんにスタジオにプロデューサーとか営業がいると
YAMATOWORKSをスタジオとして運営していかなければならない、
という意識になってしまうというか…
例えばサンライズさんが、森田監督でフル3Dのアニメを作ります、
オレ等全員行きます、となったときそこに残るプロデューサーとかは…」

-確かに、何なんだとなってしまいますね。
「分かり易く言うと、フリーランスが帰ってくる場所というか、
どこかの作品に参加してもこっちに戻ってくるというか、
フリーって結構しんどいじゃないですか。
仕事が無くなったら次また探して、また探してっていうのがしんどいんで。
『ガッチャマンクラウズ』のときは全員で行って、帰ってきて。
面白かったのは僕はぴえろさんで『東京喰種』の監督をやるんですけど
実は僕だけぴえろさんに行ってたんですね。
他のメンバーはMAPPAさんで同時期のアニメの
『牙狼〈GARO〉』を作っているっていう。
またそれが終わったら帰ってくるというか。」

-そういう場所なんですね。
「どちらかというと気持ち的には
フリーランスの気持ちでちゃんとしてもらって、
ただ、ちゃんと帰る場所があるって……いいなっていう。」



event_photo02
-いいですね。
「そこでも仕事が回っているというかね。」

-管理は森田さんがやられてるんですよね?
「そうです。だいたいあの…管理も全部…」

-やっぱり監督はそういうものなんですかね。
高尾もぶうぶう言いながらやってますよ(笑)

一同笑い
「ぶうぶう言いたくなりますよね。いちばん嫌な仕事をひたすらやるのは…」

-いや~やっぱりやられてるんですね。
「本心を言うとそういう人がいて欲しいと言いのもありつつですけど。」

-今のところあえて制作進行さんも雇われていないんですよね?
「そうです。あえてやってないんですけど、最初5、6人のときは
必要ないなと思ってたんですよ。ただ社内で仕事がまわっているときは
ちょっとしんどいなと感じつつ。
何だかんだ言ってそれぞれのスタッフがスケジュール管理の意識を
もってくれるのは悪くないというか、
自分もフリーランスのときは自分の管理は自分でやってきたんで。
結構世の中、オリジナル作品作りたいって言ってる人が多いけど
なかなか作れないじゃないですか。
そういった意味では、スケジュールを現実的に落とし込めるかどうかも含めて
作品作りが出来るっていうのはあると思います。」

-そうですねぇ。
「今は人数も増えきたけど、ある意味ちょっと落ち着いてきて
次の段階としてどうしようかっていうのをスタッフと結構話してます。」

-どんなパターンがありそうなんですか?
「一つ大きな目標としては、国内だけじゃなく海外にもアプローチしてみようと。
後は会社として株式化して、もう少し仕組みを考えようというところでしょうか。」



森田さんは今、企画を考えたりされてますか?


「やってますやってます。今もやってます。
毎回オリジナル企画だすんですけど、敗れるんですけど。」

一同笑い
「敗れるんですけど、オリジナル企画は隙があけばというか
例えば『東京喰種』をやってる最中は一切考える暇がないんですよ。
終わったときに連続でTVシリーズの話も頂いたんですけど、
全部断ってて、吸収する時間が欲しくて。」

-あぁーー
「それで吸収できたら、なんか作りたくなってくるじゃないですか。
すり減らしてばっかなんで、作品作りって。
すり減らしたら、次はインプットして、
今年はある程度仕事をセーブしつつ、ちゃんと考えようというところです。
最近は企画多いですね。いっぱい出してますね。
企画書とかは…」

-えっ!見せてもらえるんですか。



event_photo03
「こんな感じで。」

-うわぁ凄い。企画書の山だ。
「まぁ全部うまくいってないやつですけどねぇ(笑)
でもこういうの作っておくといいのかなというか。
何かやっぱり仕事のオーダーが来たときにポコッていけたりするんで。
遍歴があって、昔やりたいことをいっぱい書いちゃって、
あんがい上手くいかない時期があったんですよ。
昔だした企画書って本一冊分くらいのシナリオを作っちゃってたんですよ。
これ通らないってことが分かって(笑)」

一同笑い

-そうなんですよ。
「もうねぇ~そうなんですよ。同じです?」

-はい
「気持ちは一緒ですね。」

-一緒です。
「今は丁度そういう時期で企画書をねってます。」

-やっぱり企画書は文章から始めますか?
「文章う~ん……僕そうですね、文章ですね。まずペラいちで書いちゃって
例えばどんな話みたなのを書いてから、テーマとかフォーマット、
ターゲットとか狙っている人たちはどんな人たちかを書きます。
自分のなかで練りつつ、イメージはある程度最初は幅広くしておいて、
絵を描いてくれる人間と話していくときに絞っていく感じですね。」



event_photo04

YAMATOWORKSさんのデモリールは作られてますか?


「うちはアピールが苦手で、必要にかられて作っちゃうというか
そこ、ダメなんですよ(笑)
これがねぇ、僕が感じる神風動画の水崎さんと僕の差なんですけど。」

-神風動画の代表の方ですね。
「学生の頃、運よく神風動画の立ち上げに参加する事ができ、
水崎さんと一緒にやらせていただいたんですけど、僕とは思考が違って
水崎さんはどちらかというとオープニングとか派手な表現が好きで
僕はどちらかというとストーリーを作りたい人間だったんで、
やっぱり大きな違いがあるということで
23歳ぐらいのときに分かれているんですね。」

-そんな流れが…
「だから僕はアニメ業界にすんなりストーリーを求めて来るんですけど
水崎さんとかはアピールというか、上手なぁっていつも思う。
あれやらないとお金にならないって確かに分かる。
だけど僕らツイッターもろくに出来ない人間なんで。」

一同笑い

-YAMATO飯、見てますよ(笑)
「せめて飯にしようって(笑)
アピールべたですね。公演とかでたら喋れますけど、
自分で何かプロモーションするということが苦手ですね。
プロモーションはやっぱ必要だなって思いますけど、
僕らはどちらかというと二の次になっていますね。」



森田さんはこれまで2Dルックの作品を監督されていますが
新しい表現など考えられていますか?


「もちろんもちろん。
よく作品作ってて何でわざわざCGを2Dルックにするんだと
言われることがあるんですけど、僕からすると一番見やすい絵だし、
物語が重要で、こんなこと言うとスタッフがかわいそうですけど
実は見てるお客さんって、5分見たら絵は見なくなってっくるんですよ。
後は脳内でストーリーを見るようになってて、
もちろん下手くそな動きとか、ダメなものがあるとノッキングを起こしますけど
それが普通な以上はずっとストーリーが入ってくるだけなので。」



event_photo05
「CGを使うことで利点があるなと思うのは
新しい演出ができるんじゃないかなと。例えば
『24(twenty four)』みたいなああいうのって作画ではできないですけど、
でもCGだと出来るんじゃないかなとか。
そういう演出の幅が大きく広がるかもしれない、そこが重要で
ルックは僕どうでもいいと思ってて、お話が見れればというか。
ルックはその都度というか、その作品にあったルックでいいのかなと。
例えば『九十九』は物に関わる話だったので、ちょっと立体感が
欲しいなと思ってたんですよ。手触り感というか。」

-なるほど存在感のような。
「そうですね、だからああいう風な感じになったりとか。」

-ルックはストーリーや演出に合わせてその都度調整みたいな。
「アニメという中で、かもしれないですけどね。
そこで実写を目指しては多分作らないと思いますけどね(笑)」

-はい(笑)
「アニメの範囲でってことかもしれません。」




今回のYAMATOWORKSさん見学の記事はこれで終わりです。
載せられなかった部分もありますが、お話を伺っていて
森田さんの実行力には驚かされるばかりでした。
今後もYAMATOWORKSさんが作られる作品を楽しみにしたいと思います。
忙しい中、時間を割いていただき本当にありがとうございました!




event_logo

2015.12.23